2012年11月19日月曜日

大山村塾第5回講演会のお知らせ


大山村塾 第5回講演会講演会のお知らせです。

今年最後の大山村塾講演会を行います。
講師は、大地を守る会の藤田会長です。
鴨川自然王国創設者の故藤本敏夫氏とともに、
大地を守る会を創設し、その後もずっと運営を続けてこられました。
私達の地域づくりにも大きなヒントになると思います。
ぜひ、お越しください。

12月8日(土)13時30分〜(13時開場)
会場:旧大山幼稚園(旧大山小隣)
*会場が変わります。 
資料代1000円


<第1部>
講師:藤田和芳(大地を守る会会長)
「大地を守る会」の37年間から見えてきた食と農の21世紀!
これからの百年、「農」(生産する人)と「食」(消費する人)の関わりはどうなっていくのだろうか?
有機食品宅配システムの先駆的指導者が3 ・11体験をふまえて熱い思いを語る!

<第2部>
高野孟(大山村塾塾長)
12月16日に投票日を迎える衆議院総選挙。
そこでどういう座標軸を立てて政治の行く末を見通せばいいのか、大胆に問題提起をする。
将来の世代に、あの人たちはすばらしいものを残してくれた」
と言われる時代を築きたい」と、その思いをブチまける
近著:『原発と日本はこうなる』(講談社、11年11月刊)、『「超日本」宣言』(講談社、12年8月刊)など

<プロフィール>
●藤田和芳(ふじた・かずよし)
 1947年岩手県生まれ。大地を守る会会長、株式会社大地を守る会代表取締役社長。100万人のキャンドルナイト呼びかけ人代表、アジア農民元気大学理事長、ふるさと回帰支援センター理事、食料・農林漁業・環境フォーラム幹事、日本NPOセンター評議員。著書に
『有機農業で世界を変えるーダイコン一本からの「社会的企業」宣言』、『畑と田んぼと母の漬けもの―「大地を守る」社会起業家の原風景』、『ダイコン一本からの革命―環境NGOが歩んだ30年』など。

●高野孟(たかの・はじめ)
1944年東京都生まれ。68年早稲田大学文学部卒業後、通信社、広告会社を経て75年からフリージャーナリストになると同時に、情報誌インサイダーの創刊に参加、80年から(株)インサイダー代表兼編集長に。94年に日本初のインターネット週刊誌「東京万華鏡」を創刊、現在は「まぐまぐ!」からインサイダーの中身を含む『高野孟のTHE JOURNAL』を有料発信中。

2012年11月18日日曜日

第4回座会報告


遅くなりましたが、第4回座会の報告を行います。
実際の製作は10名、見学者は12名以上と、熱心に行われていました。

その模様を、高野孟のTHE JOURNALより転載いたします。

<高野 孟>

11月03日(土)

 午後から旧大山小学校で「大山村塾」の座会で、今日は「自分で作る
ミニ太陽光発電システム」のワークショップ。神奈川県相模原市から
「藤野電力」の小田嶋電哲さんを講師に招いて、希望者8人が組み立て
に取り組んだ。50Wのソーラーパネルをチャージコントローラー(過重
電防止と逆流防止の装置)を通じてバッテリー(鉛蓄電池)とシガーソ
ケット(直流直結用)に接続し、さらにバッテリーをインバーター(交
流変換器)に接続する。この組み立てキットが指導料込みで4万2500円。
で、これがどのくらい実用に足るかというと、終日晴天の好条件でフル
に発電すると最大限で200Whの電気が使える。つまり100W電球なら1
日に2時間、点灯することが出来るという計算になる。平均的な家庭の
1日の消費電力量は15kWhだから、その1.5%に満たないとはいえ、
実際に自分でやってみれば、電気というものを考え直すきっかけになる
(写真館参照)。

写真館 http://www.the-journal.jp/contents/takano/shasin039_3.jpg

 藤野電力は「自分で使う電気は自分で、地域で使う電気は地域で」を
モットーに、このようなワークショップの開催、個人住宅や廃校などで
のシステム設計・施工、市民発電所の建設などを通じて再生可能エネの
普及に努めている市民グループで、今年4月にNHKの「おはよう日本」
で紹介されるなど、活動が注目されている。
★藤野電力: http://fujinodenryoku.jimdo.com ▲


<林 良樹(事務局)>

昨日、大山村塾で太陽光発電WSを行いました。

みんなホクホクした気持ちで、小さな電気の自給システムを家へ持ち帰りました。
これから、晴れた日には洗濯物を干すようにパネルを出して
「縁側発電所」や「お庭発電所」となって電気を太陽と共につくるでしょう!

 ありがとうございました。

林良樹

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大山村塾、講演会を4回、座会を4回行うことができました。
今後ともご支援、ご参加どうぞよろしくお願いいたします。

事務局 首藤 武宏

2012年11月2日金曜日

第4回座会は旧大山幼稚園で行います!


いよいよ明日は大山村塾の座会です。
太陽光発電ワークショップを予定しております。
天気もよさそうです。


制作には実費が必要ですが、
自分でできる太陽光発電としては
画期的な座会になると思います。


見学は無料ですので、お近くの方は
ぜひおこしください!


<第4回座会>

11月3日(土)13:30~16:00
会場:旧大山幼稚園
テーマ:太陽光発電ワークショップ~家庭で小さなエネルギー自給をしよう!
藤野電力を講師に、家庭用の小さな太陽光発電を作るワークショップを行います。
エネルギー自給の一歩を家庭から!


*事前申込制です。mailto:oyamasonjuku@gmail.com
  参加費:太陽光発電 製作 42800円(先着12名)
              見学 参加費無料
*見学の制限はありません。

2012年10月11日木曜日

第3回講演会(鳩山由紀夫氏)が書籍化!

第3回講演会の内容は、先日ブログでも掲載しましたが、
それに加筆訂正・付録を加えた書籍が誕生しました!
アマゾンへのリンクをはってありますので、ご関心ある方はお買い求めください。
なお、第4回講演会でも販売予定です。


初期民主党の立ち上げに深くかかわった高野塾長が、鳩山元総理とともに
民主党の原点について語りました。
民主党は何を目指した政党だったのか、改めて考えさせられるいい機会になると思います。

2012年10月10日水曜日

第4回講演会には河野太郎衆議院議員が!!!



後10日に迫ってきました。
毎度ながら、あわてての広報です。
現職衆議院議員、しかも震災前から核燃料サイクルを止めるべきと
活動されてきた河野太郎衆議院議員の講演です。
会場が、いつもの旧大山小体育館ではなく、
長狭学園になっておりますのでご注意ください!!!

/////////////////////////////////////////////////////////

第4回講演会のご案内です。

10月20日(土) 13:30〜16:00(開場13:00)
会場:長狭学園体育館(会場が変更になります。)
    (住所:鴨川市宮山176)
資料代:1000円
講師 河野太郎
(自民党衆議院議員・原発ゼロの会)
テーマ:とにかく、まず核燃料サイクルを止めよう

<タイムスケジュール>

 第4回講演会
10月20日土曜日

第1部 13:30〜15:00 講師 河野太郎
とにかく、まず核燃料サイクルを止めよう

*自民党のなかでただ一人と言っていいだろう。
 終始一貫、原発ゼロと核燃料サイクル停止を訴え続けてきた異色の政治家。
 党の国会運営方針に造反して役職停止中の異端の政治家が、
 「もうこうなったら総理になって日本を変えるしかない」
 将来の世代に、あの人たちはすばらしいものを残してくれた」
 と言われる時代を築きたい」と、その思いをブチまける。
近著:『原発と日本はこうなる』(講談社、11年11月刊)、『「超日本」宣言』(講談社、12年8月刊)など


第2部 15:10〜16:00 講師 高野 孟
「橋下旋風をどう見るか」

いよいよ総選挙。台風の目となった橋下徹=日本維新の会は
本当に日本に維新をもたらすのか


<講師紹介>

河野太郎(こうの・たろう)

1963年神奈川県生まれ。慶応大学経済学部中退、
米ジョージタウン大学で比較政治学を専攻し、85年卒業。
富士ゼロックス、日本端子に勤務の後、96年に衆議院初当選。
総務政務官、法務副大臣、衆議院外務委員長などを歴任し、
09年9月の自民党総裁選に立候補するも次点にとどまった。
この間、消費者基本法、臓器移植法改正、国家公務員法改正などの議員立法に取り組む。

<今後の予定>

第5回講演会
◉12月8日(土曜日)13:30〜16:00
講師 藤田和芳(大地を守る会社長)
「大地を守る会」の37年間から見えてきた食と農の21世紀

第6回講演会
◉2月9日(土曜日)13:30〜16:00
講師 英田上山棚田団 原田明
(協創LLP代表)
限界集落なんて言わせない
限界は突破するためにある

第4回座会
◎11月3日(土曜日)13:30〜16:00
「太陽光発電ワークショップ」
〜家庭で小さなエネルギー自給をしよう〜
藤野電力を講師に、家庭用の小さな太陽光発電をつくるワーク
ショップを行います。エネルギー自給の一歩を家庭から
申し込み制です。事務局林までメールかお電話ください。

※(参加費 太陽光発電 制作 42,800円 (先着12名*見学は無料です)

2012年9月17日月曜日

大山村塾第3回座会報告!

先週土曜日に行われた大山村塾第3回座会。
新規就農者の方々の話は本当に刺激的で、
ますます可能性が見えてきました。

東京からご参加くださった西村さんが、
動画を編集してくださいました。
どうぞご覧ください!
リンク先:都市生活者の農力向上委員会

2012年9月11日火曜日

9月15日(土)第3回大山村塾座会のお知らせ!

座会コーディネイターをつとめる林より、
第3回の座会をご案内させていただきます。

///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

みなさま

今週末の9月15日土曜日、大山村塾を行います。
場所 旧大山幼稚園 千葉県鴨川市金束2
時間 13:30~16:00
 参加費無料

「これからの農村を考える」をテーマに座会を行います。

今回は木更津の「耕す」のスタッフ飯沼さんに来て頂きます。
「耕す」はapbankが出資して30haの農地を開墾し、若者たちが
有機農、東京のカフェ、農イベント、太陽光発電、音楽フェス等々、
色々とリンクさせながら都市と農場をつなげ多目的な「農」を展開し始めています。

「耕す」
http://www.tagayasu.co.jp/index.php

友人の「耕す」訪問レポート
 http://blog.goo.ne.jp/atsu1234/d/20120809

また「いのちのかて」というプロジェクトを始めた
吉田さんにも来て頂きます。
千葉北総の有機農産物の野菜BOXと秋田の自然農法のお米(無農薬・無肥料)の直販、
米と大豆のオーナー制度、シェアふぁーむ基金等々、色々な地域とネットワークして
複合的経営を展開します。

「いのちのかて」
http://inochinokate.net/farming.html

他に日本有機農業発祥の地である旧三芳村の新規就農のベテラン農家渡辺さんにも声を
かけています。(農繁期なので調整中)
提携、産直、養鶏、ホタル米研究会、有機野菜、三芳自然塾とその歴史は日本のパイオニアです。

市原市に研究所がある畑でつくる太陽光発電「ソーラーシェアリング」の
可能性も考えてみたいと思います。

畑でつくる太陽光発電「ソーラーシェアリング」
http://n-kan.jp/news/?p=19

鴨川の中山間地域では都市農村交流がとても盛んで、
オーナー制や交流事業が成功して10年が経った今、
運営側の高齢化も進み、そろそろ次のスッテプへ向かう時期に来ています。

「農」を中心に新しい動きが千葉で始まっていますので、
みなさんと活発な意見交換をしたいと思います。
リラックスした車座での勉強会なので、
ぜひお気軽にお越し下さい。

林良樹

2012年8月28日火曜日

大山村塾第3回講演会 高野政談[後編]公開します!


高野政談[後編]を公開します。
民主党はどうあるべきか、質疑応答を通して明らかになっていきます。

[前編から読む]


●旧民主党の理念

  旧民主党の理念、私も加わったその時の議論が民主党の原点だという
 お話が鳩山さんからあった。私もそうだと思っている。それは今述べた
 ような、新しい発想に立って、ひと言で言えば「上からでなく下から」
 ということだが、社会のあり方の原理を変えていこうという努力が始
 まっていて、まあ躓いたり転んだりのようなことではあるけれども、い
 ろいろな分野で小さな変化がすでに始まっていることは見ないといけない。

  で、マスコミはこういうことに全く興味がない。片言隻句を捉えて、
 本質と何も関係ないところで一太刀浴びせて、あわよくば大臣を引きず
 り下ろしてやろうという、私に言わせれば「情報テロ」みたいな報道が
 横行している。そのことに国民も慣れて、何かそういう刺激がないと面
 白くないというようになっていく、非常に悪い循環が起きていると思う。
 そういう意味でマスコミを通じて見ていても本当に大事なところは
 伝わってこない。もちろん伝えていないという政権の側の問題もあると
 思うけれども、マスコミの非常に強い偏光フィルターを通じてしか政治
 を見られなくなっていることに、国民のほうがいつも心していなければ
 いけない。その上で良い悪いの評価をきちんとやりたいものだと思う。

●総選挙の負け方

  えー、総選挙。鳩山さんの口からは語りにくいだろうし、まあいつに
 なるのか──いつということでは、私は年末から1月ではないかと考え
 るが、もうちょっと政権がうまく行っていると、来年の7月の参院選ま
 で引っ張って行って勢いでダブル選挙というのが一番いいだろう、そこ
 でもう一回国民の信任を得て、落ち着いて、いよいよ改革本番に取り組
 むという流れになればいいなと思っていた。が、この間も何人かの方と
 話して、枝野経産大臣もそういう意見だったが、いまダブル選挙をやっ
 たら両方負けて酷いことになる、と。切り離して、12月~1月に総選挙
 をやれば、仮に民主党が野党になっても、参院の多数はまだ持っている
 という状況のほうが「まだマシだ」というようなことを言っていた。分
 けたところでそういうことになるのかどうかよくわからないが。

  ただ、その時に枝野さんにも申し上げたけれども、消費税、確かにこ
 の上げ方は乱暴きわまりないもので、国民に対する説得力もなく、不満
 は大きいけれども、しかし消費税では選挙は負けないと思いますよと
 言った。このタイミングでいいか、こういう説明の仕方でいいか、自民
 党とこんな格好で手を組んでいいか、などいろいろあるが、長い目で見
 て税を上げることなしには財政再建も、医療・福祉の発展もありないと
 いうことは、誰しもある意味では分かっている。このやり方がいいかど
 うかというと私も相当首をひねるけれども、長い目で見てどうなんだと
 言われるとまた別の議論になる──というくらいのことは、成熟した我
 が日本国民はかなり理解しているところではないか。だから消費税その
 ものではそんなに負けない、言い方を変えると、負けるとしても消費税
 を上げるということが第1要因にはならないと思いますよ、と申し上げた。

  しかし、原発が今のように曖昧だとこれは大惨敗することになるので
 はないか。脱原発なしには、いくら未来のことを語っても仕方がない。
 損だ得だという話を超えて、原発はイノチそのものの問題だ。そういう
 意味で、脱原発、そして単に脱だけではなく、ならば日本の将来にわた
 るエネルギー戦略をどうするのか、工程表も含めてはっきり打ち出して
 選挙をやれば、そう酷い負け方はしないだろう。とくに自民党は絶対
 に、10月にここへやってくる河野太郎さん1人を除いて、脱原発とは言
 えない。ズブズブでやってきた張本人だから。そういう意味で自民党と
 の違いもはっきりさせることができる。

  その脱原発を軸に、21世紀を通じていったいどういう社会を創りだし
 ていきたいのか、それこそ前向きの理念・展望をもう一回前面に出して
 選挙をやれば、勝つことはなかなか難しくても、いま言われているほど
 酷く負けることにはならないのではないか。またそういう前向きの姿勢
 を打ち出せれば、まあどういう結果となるにせよ、国民に勇気を与える
 ことになるのではないか。せめてそのくらいのことはやって貰いたいと思う。

  なお原発については、先週本屋さんに並んだ私の『原発ゼロ社会への
 道程』という本を持ってきて、後ろで割引価格で売っているので、ご関
 心ある方はお読み下さい。表紙の帯に「こんな世の中を残して死ねる
 か!」と書いてある。中の文章から編集者がとったのだが、本当に3・
 11以来、私は、こんな世の中を子や孫に残して死ねるかという意地だけ
 で生きているようなもので、そういう祈りのようなものを込めて書いた
 本です。是非ご一読下さい。

  あと10分ほど時間があるので、1人か2人になってしまうと思うが、
 鳩山さんもまだ席におられるし、鳩山さんでも私でもいいので質問をどうぞ。

──────────────────────────────

聴衆1 鴨川も3・11では地震も津波もほとんどなかったが、その後の
  風評被害はすごかった。そこで小泉さんの郵政選挙ではないが原発を焦
  点にした選挙をやってもらって、若い人たちを含めて意思を表す機会に
  してほしい。

高野  先ほど脱原発デモの話も出たが、国民の間に非常に深い怒りの
  感情が広がっていて、これはちょっと今までの政治的な次元とは異なる
  何か地鳴りのようなものを感じる。それに逆らったら、思いもかけぬ酷
  い目に遭うことになるということを、野田さんはじめ政治家が体で感じ
  ているのかどうか、よく分からない。しかし私は、どうなっていって
  も、そこが判断の分かれ目になる、そういう選挙になるに違いないと思う。
  繰り返すが、これはイノチの問題で、国民がイノチをめぐって本当
  に深く悩んでいるのに、政府や財界はオカネの話しかしない。停電に
  なったら産業が外へ出て行って、お前ら、雇用が減るぞとか。こんなに
  も大きく指導者たちの言葉と国民の深いところでの気持ちとがすれ違う
  ことは今まではなかったのではないか。そのクレバスのようなところ
  に、分かっていない政治家がボコボコと落ちていく、そういう選挙にな
  るのではないか。私は「こんな日本列島を子や孫に残して死ねるか」と
  いうところで国民は投票するのだと思う。はい、もう1人どうぞ。

聴衆2 脱原発と言うが、果たしてそれで日本は世界に通用する国にな
  るのか。あの事故は原子炉そのものの問題でなく、コントロールが利か
  なかったことによる人為的な要因ではないか。

高野  それについては私の本をお読み下さい(笑い)。津波との関係
  で最大の問題は、福島第一は元々30メートル以上の岸壁だったのに、そ
  れを海水を取り込みやすくするためにわざわざ10メートルまで削って建
  てた。同じことを女川原発でやろうとしたのだが、当時の東北電力の副
  社長が断固反対して、30何メートルの岸壁からもっと高くしろと主張し
  て、これが今回ほぼ同じ高さの津波が襲ったのに女川が無傷で済んだ最
  大の理由だ。そういう意味では至る所に人間によるミスがたくさんあっ
  て、そのどれが一番の原因かというのはなかなか難しい。

   ただこれはマスコミはきちんと書いていないし、4つの事故調査報告
  書でも書かれていないのだが、実は最大の危機は4号機にあった。4号
  機は止まっていたわけだが、このあいだ取り出したばかりの使用済み核
  燃料を原子炉のすぐ横のプールに置いてあった。どうしてすぐ横に置く
  のかというと危なくて動かせないからで、3年間プールに漬けて冷えた
  ら移動する。
   で、アメリカの原子力規制委員会の最初の判断は、電源喪失となると
  確実に4号機のプールが水素大爆発を起こすということで、それが直ちに
  オバマ大統領に報告されて、「80キロ圏外退避」の指示が在日アメリカ人に
  出された。これは実は80キロで済まなくて、菅さんが後に言うところの
  「首都圏3000万人退避を覚悟した」というのは、このことだったのだ。
  どうしてその起きて当たり前の4号機の核爆発が起こらなかったのか。
  2つの偶然だった。核燃料を出して建屋内の大型構造物の取り替え作業を
  やっていたのだが、それが不手際があって工事が事故当日まで伸びていた。
  それで工事の安全を守るためにプール周りの普段水を入れないところにまで
  目一杯水を入れていたので、電源ポンプが止まってもまだ水があった
  ということが1つ。もう1つは、プールの仕切り板が揺れでズレて、
  隙間ができて、溜めてあった水がまことに幸運なことにチョロチョロずーっと
  プールの中に流れ続けて、電源が止まって水が循環できなくなくなったのに
  大爆発を起こさなかった。

   だから、そんな本当に取るに足らない偶然が2つ重ならなければ、
  我々は全部ここに居ません。確実です、これは。どこへ行っているかわ
  からないが、ここは住めなくなっている。その危機に菅さんは官邸で孤
  独に対応した。その時に彼が東電に行って、何であんな乱暴に怒鳴るん
  だと思った方もいるかもしれないが、それは、マスコミが作り出した、
  繰り返し言うが、虚像だ。3000万人首都退避で日本壊滅ということを自
  分独りで防げるのか、壊れそうになりながら闘っていたのだ。アメリカ
  はそのことを知っていた、そうなって当たり前の状態に来ているという
  ことを。[東電もそのことを知っていたから、一時は全員退去を考え
  た。]それをマスコミが、菅が怒鳴りつけたとか、やっぱりイラ菅だと
  か、ドタバタしたとか、おちょくるわけだ。私は許さない、こういう報
  道を。これは菅さんを弁護しているわけではないし、彼を好きなわけで
  もない。人間的にはあんまり好きじゃない(笑い)。けれども余りにあ
  の言われ方は酷い。

   首都圏壊滅ということを覚悟して──このあいだ菅さんの話も聞いた
  が、チェルノブイリの事故ではゴルバチョフと現場の司令官が「死んで
  くれ」と言って兵士を送り込んで、上から土と瓦礫のようなものを命懸
  けで投げ込んだのだ。それで3000人くらい死んだ、放射能で兵士
  が……。菅さんは、官邸で夜中にフッと一人になった時に「俺はそれを
  やらなくちゃいけないのか。何千人も死ぬことが分かっていて、事故を
  止めるために突っ込めと言えるのか」ということを考えていた、と言っ
  た。本当だと思う。そういうあたり、本当に何が起こっているのか、全
  く今のマスコミは伝えていない。みんなスキャンダルにしたいだけ。菅
  という至らない首相が、不馴れな官邸にいて、ドタバタしてみっともな
  いねえという笑い話にしたいだけなのだ。こんなことで日本がよくなる
  と思いますか。もうマスコミの人は帰ったから言うが、いや帰っていな
  いのかな、テレビが帰っただけか……。

   本当に酷い。大多数の国民はあの時本当にどんな危機に直面していた
  のか未だに知らないままだ。野田さんも知っているかどうか分からな
  い。菅さんからの引き継ぎ事項になかっただろう。だから、再稼働なの
  だ。再稼働ということは、今日にも日本海で大地震があって大飯原発で
  福島と同じことが起きてもおかしくないということを許すことですから
  ね。ま、そういうことで、原発のことになるとどうも力が入ってしまう
  が、時間が来たので終わらせて貰います。
  ありがとうございました(拍手)。▲


以上で後編の公開を終わります。

2012年8月27日月曜日

大山村塾第3回講演会 高野塾長政談[前]公開します!

先日は、鳩山元総理の講演をお届けしましたが、第2部の塾長政談をお届けします!

〓〓〓 INSIDER No.640   〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
敢えて民主党政権を擁護する
──「大山村塾」での高野政談
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

【参考資料】 http://www.the-journal.jp/contents/takano/shasin028_1.jpg
 

  8月18日に開かれた「大山村塾」講演会では、第1部の鳩山由紀夫元
 首相の講演と質疑(前号参照)の後、第2部では高野が「私が考える民
 主党再建案」と題して政談を行った。以下にその要旨を掲げる。

●社会活動家が内閣府参与に

 高野  「私の考える民主党再建案」というやや大仰なタイトルでお話
  ししようと思ったのだが、やや時間が押しているので、ごく簡単に、先
  ほどもちょっと鳩山さんに成り代わって民主党政権弁護論のようなこと
  を言ったが、それを補足して、もしかすると皆さんが今のマスコミ状況
  では余りご存じないかもしれない2~3の事実をお知らせすることに止
  めたい。
 

   先ほど鳩山さんからも「自民党野田派か?」というお話があったけれ
  ども、これは大体誰もが感じていることだ。湯浅誠さんという方がい
  て、時々マスコミにも出るのでご存知かもしれないが、あの日比谷公園
  での「派遣村」を組織した社会活動家で、派遣村の村長から菅さんの時
  に内閣府参与に入って、格差解消の問題、賃金の問題で政策面からも関
  与された。こういうこと自体が、地域末端で働いている活動家がいきな
  り内閣府参与に入って政策作りに関与するということも、彼に限らずい
  くつも起こっていることで、これも余り目立たないが政権が変わったこ
  との1つの成果ではないかと思う。
 

   湯浅さん、今はまた一社会活動家に戻っているけれども、ごく最近の
  雑誌で自分が間近で見てきた3つの内閣の特徴について述べていて、ま
  ず鳩山内閣というのは、従来の自民党政権から最も逸脱していた、と。
  それは、今日も鳩山さんご自身が仰ったが、「居場所と出番」という言
  葉遣いであるとか、その背景にある、やや理屈っぽく述べられたが「新
  しい公共」という概念であるとか、「補完性の原理」、これはヨーロッ
  パで培われてきた社会づくりの基本理念であるけれども、そういったこ
  とが採り入れられて、それをそういう硬い言葉でなくやさしく言ったら
  どうなるのか、鳩山内閣の最初の所信表明の頃にブレーンの方々が頭を
  ひねって、「居場所と出番のある社会」というなかなか面白い表現を
  作ったのだと思うが、それを湯浅さんが評価されている。

●間接支援でなく直接支援

   それから、これは今この3政権のうちに少し薄れてきてしまったけれ
  ども、鳩山内閣が一番重視したのは、家計への直接の支援ということ
  だった。先ほど私は例を出して言ったが、何とか協会、そこで天下りの
  元役人がタップリと先に横取りしてしまって、段々下へ行くほど予算は
  細っていくというのが、これまでの間接支援のやり方だった。天下り制
  度と深く結びついて既得権益を作り上げていた。それを壊そうというの
  が直接支援で、子ども手当も、いろんな議論の末に修正修正になってし
  まったが、子どもの居る家庭に直接支援する、そんなことをしたらバカ
  親父がパチンコ代に使ってしまうぞと自民党は言って、まあそういう
  ケースもあるかもしれないが、途中で中抜きされるのではなくて、当事
  者に直接支援を届ける。

    農業において、これもまだ制度的にうまく整っていると思わないが、
  農家への直接支援、あるいは所得保証、これもヨーロッパで生まれた考
  え方であるけれども、それを日本的に適用しようという。今までだと、
  あらゆる補助金は、そう言っては何だが、農協などを通じて流れて、ま
  ず[つい先年までは]30万人[もいた]農協職員の食い扶持が予算の総
  枠から横取りされる。段々細っていって、残りが本当に農業をやってい
  る農家に届く。極端に言えば残りしか行かない。そういう間接支援の仕
  組みを壊そうとした。こういう点を挙げて、湯浅さんは鳩山内閣を自民
  党路線から最も逸脱しようとしたと定義している。

   次に菅内閣は、それを少し修正して、今までとの中をとるような感じ
  だった、と。鳩山時代に「成長戦略がないじゃないか」と経済界から言
  われて、「強い経済」と「強い財政、強い社会保障」を両立させるとい
  う間をとるような路線をとった。その財界寄り修正路線の中からTPPと
  消費税が出て来た。ただ、東日本大震災の後、菅さんが脱原発を打ち出
  して、これを野田政権も少なくとも言葉の上では引き継がざるを得なく
  なった。その意味では、そういう言葉を湯浅さんが使っているわけでは
  ないが、功罪相半ばというか。そして野田内閣については、極めて短
  く、「さらに保守に傾いて自民党路線と変わらない」と言っている。こ
  れは内閣近くで仕事をしていた方の実感で、私も似たような見方をす
  る。

●セイフティーネットの多重化

    で、この湯浅さんが取り組んだ格差と貧困の問題では、そうは言って
  も少しずつ変わってきたその成果の蓄積がある。湯浅さん自身は「遅遅
  として」というか「着実にと言うべきか」というような表現をしていた
  が、非常に大きいのは「求職者支援制度」の恒久化。要するに、失業保
  険と、何もかも失敗して生活保護を受けるということの間に、いろいろ
  なチャレンジすべき段階があるはずで、その間の支援制度、つまりセー
  フティーネットがヨーロッパなどでは非常に手厚くなっていて、どこか
  で引っかかってまた這い上がってくるチャンスが生まれるように何重に
  もなっている。
 

    日本は会社を辞めた、首になった、倒産した、それで失業保険を貰っ
  て何カ月で切れた。後は何もなくて、どん底まで行ってしまえば生活保
  護。そこをヨーロッパをモデルにしながら何重にもセイフティーネット
  を作っていこうということで、その議論そのものは自民党政権時代に始
  まったけれども、その「7つのセイフティネット」のうちの1つがすで
  に求職者支援制度として実現した。そして残りの6つのセイフティネッ
  トについても現在、厚労省で法案化に取り組んでいて、上手く転がれば
  来年の通常国会で法律になる。
 

    また雇用保険の加入条件の緩和、今までは半年以上勤めないと入れな
   かったのが、2カ月に縮まった。この財政難の中で勇気をもって変えた
   ものだと思う。今までパート、バイト、そして非正規の方々で雇用保険
   に入れない人が1000万人もいたが、これを急速に少なくしていこうとい
   うことだ。

●ロンドン五輪メダル38個

     それから、これは皆さん余り気が付いていないかもしれないが、今回
    のロンドン・オリンピックで史上最高の38個のメダルという陰には、民
    主党政権になって昨年6月に制定された「スポーツ基本法」がある。50
    年ぶりの改定だが、これは明治以来の国家スポーツ、国家の名誉のため
    に闘って優勝すれば日の丸・君が代で涙、涙という、国家がスポーツを
    育成していくのだという考え方に立った旧スポーツ振興法が全面的に改
    定されて新しいスポーツ基本法ができた。これは、先ほど「新しい公
    共」という言葉が出たが、スポーツも文化であり、しかも極めて公共性
    の高い文化空間であって、それを作っていくのは国だけではなくて、地
    方の役割も明確にし、また企業や個人の努力もあって、皆で協力して創
    造していくのだという基本原理に立った抜本改定だ。
     五輪でメダルが多かったことについて、スポーツ基本法制定と関係が
    あるんだと書いたのは日経新聞だけだったと思う(8月14日付スポーツ
    欄「国の支援さっそく効果」)。実際に大きかったのは東京・西が丘の
    「ナショナルトレーニングセンター」で、これは民主党政権になって初
    めて始まったわけではなく、自民党政権の終わり頃から始まったことだ
    が、こういう方向をより強化していこうというのがスポーツ基本法の趣
    旨だ。メダルを獲得した13競技のすべてがこの敷地内に練習場を持って
    4年間フル活用したことの成果が、メダルの数となって表れた。今まで
    は競技ごとにバラバラで、予算も限られている中、全国を走り回って練
    習場がないか合宿所がないかと探していたが、少なくともオリンピッ
    ク・レベルについてはピタッとその苦労がなくなって、落ち着いてト
    レーニングに取り組むことができた。またマルチサポートセンターは、
    国内でも選手の食事の管理とかマッサージやトレーニングなどいろいろ
    な専門的なサポートをしているが、今度の五輪の選手村にも5億円だか
    の予算で出張所を作ってサポートした。こういうことも五輪の陰にあっ
    た。敢えて言えば、スポーツ基本法を軸とした政権交代効果ということ
    も要素としてあったのだ。

●教育・医療予算の増大

     それから、先ほど「コンクリートから人へ」については鳩山さんから
    説明があったが、税収が全然見込みと違ってしまい、さらに東日本大震
    災も被ってくるという困難な状況の中で、文部科学省の予算は3年間で
    6.7%増、その内の教育予算は9%増となった。大きいのは公立高校の
    授業料無償化。公立だけでなく私立にも就学支援の制度ができて、これ
    は主に都道府県が積極的に推進するということで、相当多くの都道府県
    に広がっている。それから30年ぶりに小中学校の35人学級化という新し
    い方向が打ち出された。今までの40 人学級という決まりは先進国中で
    最低レベルだったが、これを少しでも普通の先進国並みに近づこうとい
    うことで、35人学級へという改定が行われて、教員もこの3年間で1万
    人増えた。

      また医療予算が、先ほど鳩山さんも触れられたが、13.5%増え、その
    結果、医療・福祉介護の雇用が2年間で62万人増えた。日本は、先進国
    では圧倒的に低い4%台の失業率を維持しているが、その大きな要因
    は、この60万人という、今年まで入れるともう少し多いと思うが、医
    療・福祉関係の雇用の着実な増大にある。
      公共事業予算は2年間で何と30%減。八ッ場ダムが止められなかった
    ので「なーんだ、ダメだったじゃないか」ということで話が終わってい
    るけれども、多くのダムが新しい基準で再点検され、建設・計画中止に
    なっていて、ただその同じ基準を適用すると、どうしても八ッ場ダムは
    中止の側に入らなかったということで、やっている人たちには大変残念
    なことだったようだが、今まで通りダムが野放しになっているわけでは
    ない。そういうことを含めて公共事業予算が減って、この政権になって
    初めて、明治以来初めてと言っていいと思うが、国交省の予算を文科省
    の予算が上回った。そういう「コンクリートから人へ」を象徴する成果
    が、少しずつだが着実に積み上がっている。
<前編ここまで>

2012年8月23日木曜日

鳩山元総理講演[下]公開します!

いよいよ下篇の公開です。

本日は、質疑応答の後半部分です。
質疑応答は、鳩山元総理と高野塾長とのクロストークの形で、
聴衆とやり取りをしています。

「普天間問題で混乱を起こしたのではないか」という質問に、
「物事を変えるときに混乱はつきものだ。混乱がない解決とは
沖縄県民の心を踏みにじる形で米国の言うとおりにすることなのだ。」
と応答する高野塾長の発言に着目です。

[上編]http://bit.ly/NdClcs
[中編]http://bit.ly/OvuhR3

*出典 「高野孟のTHE JOURNAL」

[下篇]

●既得権との戦い
聴衆2  館山市で市会議員をやっていて、実際に市の予算を見ると国や
 県からのヒモ付き補助金ばかりで、大きい道路やハコモノは補助金で出
 来るが、ちょっとした段差の補修とか、防火水槽とか、小さな工事は補
 助金が付かないので市では実現できない。民主党はヒモ付き補助金はな
 くして一括交付金にすると言っていたのに、未だになくならない。これ
 は可能だと思うが、できていないのは、マニフェストが机上の空論だっ
 たからなのか、あるいは既得権にビビッてしまってできないのか。ま
 た、マニフェストを見た時に、暫定税率の廃止と高速道路の無料化が
 入っていて、両方で4兆円かかるから両方は無理だろうと思った。

鳩山  おっしゃる通り、民主党が既得権の側に立ってしまうように
 なったことが大きい一括交付金については、形の上では前原国土交通大
 臣のところでかなりの部分、一括交付金化したのだが、実はその中の使
 い途が見えない糸で同じ様に繋がれていて、既得権を打破することにな
 らなかった。見た目と中身がまるで違ってしまった。暫定税率と高速道
 路の無料化については、4年間で16兆くらいのお金は、特別会計も合
 わせて200何十兆をもっと精査して詰めた議論をしていないだけで、捻
 出できないわけがない。しかし当時、自分にそこまでの迫力がなかった
 ために、高速道路の無料化は実験段階だけということになってしまい、
 暫定税率の廃止もできなかった。しかし、諦めてはいけないのであっ
 て、特別会計をもっと徹底的にギリギリまで攻めていくべきだ。その力
 量を民主党が持ち合わせていないことが問題だ。

高野  民主党の主体的な問題もあるが、鳩山さんの民主党は一番悪い
 時に政権をとってしまった。08年9月のリーマン・ショックで世界的
 な金融大混乱があって、09年年度半ばの9月に政権をとったが、その
 09年度予算で9兆円の歳入欠陥つまり予定しただけの税収が入って来
 ないということがあって、翌10年度もその流れの中で6兆円、2年に
 わたって計15兆円の歳入欠陥があって、これは何党が政権をとってい
 ようと腰が抜けるような計算違いで、別に鳩山さんに代わって弁解して
 いるわけではないが、誰がやっていても酷いことになっていた。しかも
 そこからようやく這いずるように立ち上がろうとした矢先に東日本大震
 災だ。だから責任がないとは言わないが、客観的に言うと、誰も経験し
 たことがないようなとてつもない状況に──要するに免許取り立てのパ
 イロットが初飛行でいきなり乱気流に突入して錐もみ状態に巻き込まれ
 たような状態だったということだ。そういう面も見てあげないといけな
 いんじゃないか。

鳩山  弁護して頂いて、大変嬉しくて、立場が逆のような気もするが
 (笑い)、ただもう1つ、財務省に対してもっと言うべきことは言わな
 ければならなかった。財務省に言われると「ああ尤もだなあ」と納得し
 てしまう。それで捻出できるところができなかったという面が非常に
 あったと思う。

●原点回帰は可能か

高野  えーと、会場に元日刊ゲンダイ、今はBS-11役員の二木啓孝
 さんが来ているが、彼も週末鴨川市民でここにも毎回来て頂いている。
 政治の先行きについては詳しいと思いますが。

二木  質問は簡単で、もう民主党は見限るべきなのか、まだ頼みにな
 るのかということだ。いま鳩山さんの話を聞いていて、総理になるま
 で、それから総理の時もすいぶんいいことを言っていたんだなあという
 のが正直な感想だ。普天間の問題では、私は「国外、少なくとも県外」
 というのは、凄まじいことを言ったなあと思うし、沖縄の人は本当によ
 く言ってくれたと思っている。なぜ普天間の移転が出来なかったかとい
 うと、平野官房長官以外は動いてくれなかったというお話しがあった。
 私が見る限り、党を挙げて閣僚を挙げてという話は全く聞こえてこな
 かった。実はこれが民主党の限界だと思っている。官僚の厚い壁を民主
 党が総力を挙げてブチ壊すところが見えない。なんか総理が言ってるね
 えというのがほとんどだった。政権をとってどうするかということでは
 バラバラだったという感じがして仕様がない。鳩山さんは何とかしてこ
 の民主党を立て直したいというお話しだったが、野田さんの今の政府を
 見るともう鳩山さんと相当離れている。小沢さんは呆れ返って新党を
 作ってしまった。鳩山さんが頑張っても今の民主党の主流のところを軌
 道修正して原点に戻せないのではないかなあという気がしている。既得
 権益に乗っかってしまった民主党が、選挙の後、自民・公明と組んで連
 立するということになってくる時には、もう我々は民主党を見限って、
 新しい党、政治集団に期待をかけるしかないのかなあと思うが、どう
 か。

高野  もうテレビは帰ったので……。

鳩山  私は最後のチャンスとして、党が原点回帰をして、既得権益と
 戦う集団にもう一度戻そうじゃないかということが出来るとすれば、民
 主党の次の代表選挙しかないのではないかと思っている。その時に、そ
 のことを本気で、懺悔するような気持で、もう一度国民の側に立って戦
 うという候補者が出て、そしてその候補者が党員、議員の内心を揺さ
 ぶって勝利を収めるということになった時に、民主党がもう一度国民に
 信頼される党に戻る可能性がある。その可能性がどこまであるかとなる
 と、二木さんの言うことが正しいようにも思うが、だからといって諦め
 てはならない。先ほど高野さんとも楽屋裏で話していたのだけれども、
 ある意味でこの鳩山が民主党の製造物責任者であるわけで、その責任を
 果たすべきではないか、そう簡単に諦めるべきではないという話を頂い
 た。それもそうだと思うので、たぶん野田政権と執行部の側は、私に党
 員資格停止3カ月ということは、「どうぞ出て行きたいんなら出て行き
 なさい」と意思表示をしているのだと思うが、そう理解しながら私はま
 だ党内に残っている状況だ。ただ、いまお話しがあったように、既得権
 と戦う集団であることを諦めた民主党であることがどのような手段に
 よっても変わらなかったとすれば、その時には私も様々な考え方で行動
 しなければと思っている。

高野  もう1人どうぞ。

聴衆3 今の話を聞いていると、既得権益と戦うことが目的のように聞
 こえるが、本来の目的は国民の生活を守り、向上を促すことが政治の目
 的だと思うが。

鳩山  既得権益と戦わなければ、国民にとっての公平公正な社会は作
 ることはできないということを申し上げている。なぜならば3年前の国
 民の皆さんの不満、不信というのは、ひとえに政官業の癒着の中で甘え
 た人たちが御利益を得て、一方でその外にいる人たちは幸せでない生活
 を強いられているということだった。その不公平感から脱却させていく
 には既得権を壊さなければならない。言うまでもなく、既得権を壊すこ
 とだけが目的ではなく、それを壊すことによって、より公平公正な社会
 を創り出すということが目的であることは論を俟たない。

聴衆3 それによって、結局、混乱を生じて国民の生活を守れないとい
 うことが多数起こった。結局、普天間の問題にしても、混乱を招いたわ
 けだ。

鳩山  国民の皆さんに混乱を招いて、沖縄の皆さんには大変大きな期
 待を抱かせてそれに応えることができなかったということはある。た
 だ、だからと言って既得権との戦いを諦めてはいけないと思っている。

高野  こういうことだと思うんですよ。既得権益というのは、何でも
 いいんですが、えーと、例えば子どもたちに本を読み聞かせるという活
 動を全国に広げようという声があって、それではそういう法律を作って
 予算を来年度からとりましょうということになると、もう早速、その予
 算が出来るか出来ないうちに、もうそのための天下りの協会が出来てい
 る。で、その予算はまずその協会本部に下りて、そこから全国都道府県
 に支部があってそこへ回って行く。それで、その本部の専務理事はじめ
 皆天下りで、その人たちの給与が取られて、都道府県に行くとまた職員
 たちの飲み食いはどうか知らないが必要経費が全部抜かれて、残ったも
 のが現場に届く。その仕組みが、日本のあらゆる分野にわたって巣くっ
 ている。食い物にされているわけだ、国民の税金が。その仕組みを変え
 て、子どもたちのためにこういう使い方をしようよと国の最高機関であ
 る国会が決めたら、出来るだけそれを子どもたちがいる現場に渡したい
 じゃないか。いまその戦いが始まっていて、それが始まれば混乱が起き
 て当たり前だと思う。混乱の何がいけないのかということだ。混乱がな
 ければ明治維新なんて起こっていないのだから。殺人、暗殺、テロ、内
 戦、何でもありの大混乱の中でしか明治維新はあり得なかった。普天間
 問題が混乱しないというのはどういうことかというと、日米防衛官僚が
 決めた通りに粛々としてやって、辺野古の人たちが泣き寝入りして決着
 することが混乱が起きない方法だったわけだ。それを鳩山さんが余計な 
 ことを言って混乱を起こした。混乱のどこがいけないのか(拍手)。

聴衆3 私に言っていると思うので答えさせて貰うが、混乱を期待して
 国民は民主党政権を選んだのではないと思う。もう1つ、政策・理念が
 一致しないのに1つの政党にいるというのは矛盾していないのかどうな
 のか。

鳩山  私の友愛という考え方は、意見が異なっていてもそれを排除す
 るのではなくて、むしろ意見を戦わせる中で議論を尽くして結論を出し
 ていくということだ。国と国でも同じだ、ただ、私は今の野田君に理念
 が果たしてどこまであるのかということがむしろ問題で、理念をお持ち
 ではないのではないか、こういう世の中に自分はしたいんだという発想
 がないことが問題だと思っている。それだけに、次の代表選で民主党の
 軌道を戻すことができるのかできないのか。できなかった時に果たして
 その中に居続けることが適当なのかどうかという判断が必要になって来
 るかとは思うが、まずは最後の試みとして私が考えている民主党の原点
 を思い出すチャンスとして使うことができるのではないか。

●アメリカにノーを

高野  もう1人かな、時間的に。はい、どうぞ。

聴衆4 鋸南町から来た。常時駐留なき安保だが、現在の思いやり予算
 が出続ける限りは、美味しいところに蝿が集まるように、結局出て行か
 ないのではないか。さらに、アメリカが日本を守ると言うが、今回の竹
 島、尖閣の問題で分かる通り、当事者同士で話をしてくれということ
 で、アメリカという国は、自分の美味しいところは飛びつくけれども、
 そうじゃないところはそっちでやってくれということではないか。さら
 にオスプレイについては、米本土でもハワイでも反対が出て訓練をやら
 ない。日本だけ、この狭い土地で、住宅のないところなどほとんどない
 中で、圧倒的な住民が反対している。なのに、先ほどからお話しに出て
 いる官僚が御無理御尤もで受けてきて、日本国民をだまくらかして何と
 かしてしまうということになっている。そこで、鳩山さんがアメリカに
 対してはっきりノーと言えるのか。是非、鳩山さん頑張ってやってほし
 い。

鳩山  私はアメリカに対して言うべき時にはノーと言うのが真の友情
 だと思う。イラクの戦争に日本が加担したときに、私はノーと言った
 が、小泉さんが自衛隊を派遣してしまった。明らかに、今それは歴史的
 に間違いであったと判っているが、日本政府はその誤りを認めていな
 い。しかし私共はアメリカが間違った行為をするときにはノーと言うべ
 きだ。オスプレイは、低空飛行の訓練を日本の中で行うことには大変大
 きな危険を伴うことは間違いなく、その配備には私はノーという立場
 だ。私がアメリカに東アジア共同体構想を伝えた時に、アメリカが大変
 敏感に反応し、それに加えて普天間の移設問題でこの鳩山はアメリカに
 対して敵対的ではないかと思われたのだろう。その結果が、私の立場を
 大変辛いところに導いたと指摘されている。だからと言って、アメリカ
 の意思に何でも従う日本であっては決してならないと思っており、その
 ような態度は今後も貫いていく(拍手)。

高野  では時間もオーバーしているので、第1部を終わらせて頂く(拍手)。



参考資料→ http://www.the-journal.jp/contents/takano/shasin027_1.jpg

以上で下篇の公開を終了します。
メディア記事では現れない、元総理の考えがかなり踏み込んだところまで述べられています。
ご意見・ご感想お待ちしております。

2012年8月22日水曜日

鳩山元総理講演[中]公開します!

昨日に引き続き、中編を公開します。
今回は、講演終盤から質疑応答の一部までです。

上編を公開したところ、「こんな感じでフランクに当時も話せばよかったのに」という
ご意見をいただきました。
元総理は何を語られたのか、引き続きご覧ください。

なお、この講演要旨は「高野孟のTHE JOURNAL」からの
転載原稿です。

(上編から読む)

[中編]


●普天間移設問題

 私がやるべきは、そのような既得権ととことん戦う姿を見せること
だった。だが、普天間問題で立ちはだかった壁に対して自分自身が勝利
を掴むことができなかったのは力不足で、申し訳なかった。

 私の沖縄への想い、これは私のみならず民主党全体で選挙の前に作っ
た「沖縄ビジョン」というものがあって、その中に、普天間の移設先に
ついて「将来的には海外が望ましい」と、また「最低でも」という言い
方をしていたかどうかは分かりませんが「県外に移設されるべき」であ
ると書かれてあった。

 何も私が一人で勝手にそう言ったのではなく、党としての考え方として
「最低でも県外」ということだった。当然、総理になったので、私が中心となり
この方向性を指し示してきた。沖縄の皆さんは、年来の彼らの想いを総理が
そこまで話してくれるということに喜び、期待もしてくれた。
私としてもできる限り県外に移設をしたいと最後まで思い、徳之島などにも
当たらせて頂いた。最初は前向きに考えていた方々も、メディアの壁というものが
あったと思うが、メディアなどで伝えられると急激なカーブを切り、徳之島はダメだ
ということになって、退路を断たれることになってしまった。

 私自身の力不足を晒すことになるが、官僚機構というものの壁は厚
かったということだ。私が沖縄の側に立って「最低でも県外」と言った
のに対して、当時、平野官房長官以外の大臣は誰一人、私が説得するこ
とが出来ず、むしろ防衛省、外務省といった役所にとってみれば、鳩山
の言っていることはとても無理だ、もう決まっていることなんだから辺
野古案に戻すしかないのだということで、最初から壁が厚かった。先ほ
ど言ったように、既得権と戦いを強引にでも行わなければならなかった
鳩山自身が、この普天間の問題で壁の前で挫折してしまい、それが総理
辞任の1つの理由になったことは間違いない。

 ただ、私がありがたかったことは、今年の5月15日に沖縄を訪れた
ときに、沖縄の皆さんに怒られるかと思って、私自身の不徳、力不足を
詫びたが、沖縄の皆さんは暖かくて優しくて、誰一人、私に対して文
句、批判をする方はいなかった。「いやあ、鳩山さんだけですよ、歴代
の総理の中で沖縄の側に立って『最低でも県外』と発表してくれたこと
はありがたいと思っている。ただ、上手く行かなかったことは残念に
思っているが、私たちとしてももはや態度は決めています」ということ
で、沖縄の人びとはほとんど辺野古案に対しては極めて否定的な気持に
なっていることは間違いないと思っている。

 ここで、もう一度、立ちはだかった壁を打ち破らなければならないと
思っているが、ひょっとするとアメリカ自身が、このまま行けば普天間
が固定化されてしまう、それはおかしいんじゃないかということで、レ
ビン議員など有力な一部の議員が考え始めていて、これは大変おもしろ
い方向が出て来る可能性があると思っている。私も沖縄の皆さんに迷惑
をおかけし、そのことが総理を辞める理由の1つとなった以上、極力、
沖縄の皆様にご理解頂けるような最終的な解決を見いだして行きたいと
思う。その考え方の根底にあるのは、最初に申し上げたように、自分た
ちの国は自分たちで守るという気概を日本人が持つことが大切だという
ことである。

 ただ、もう1つ総理辞任の真相を言えば、政策、すなわち普天間問題
だけが原因で辞めたわけではない。余り皆さんの前でもう一度口にする
のは控えたいという気持もあるが、「母から莫大な子ども手当を貰って
いた」という批判の方が私にとっては痛烈に厳しかった。沖縄の問題以
上に、自分の身に関わる問題で、多くの国民の皆さんに不信を与えてし
まったことが、総理辞任の一番の真相である。母には今でも感謝してい
るが、母が内緒で、「お前たち、資金がなかなか苦しいならば」という
ことで、援助をしてくれていたことを鳩山自身が知らなかったというこ
と、またそのことを私に知らせないように秘書が行動したことが事実と
して明らかになり、皆様方にご迷惑をかけることになってしまった。

 そもそも鳩山自身、政治家になる時に、自民党の政官業癒着の政治で
はダメだ、それを打破するには徹底的にクリーンな政治を作らなければ
いけない、自分自身が一番クリーンな政治だと思っていたところに、こ
のような不祥事を招いたことは、青天の霹靂だったが、皆さんにご迷惑
をかけてしまった。

●改めて民主党の基本

民 主党の基本は、1に「地域主権」、2に「新しい公共」、3に「東
アジア共同体」である。これを私は「友愛3原則」と呼びたいと思って
いる。友愛という考え方の下で国と地域の関係を考えた場合に「地域主
権」、その下で一人一人の個の立場[と社会との関係]で考えた場合に
「新しい公共」、そして国と国とのあり方で考えた場合に「東アジア共
同体」ということで、これを私がやりたかった3大原則と考えている。

 「地域主権」、いま橋下市長なども唱えているようだが、どこまで本
来の意味での地域主権となるかはこれから試されるところである。地域
主権とは何か。この図(写真参照)を見て頂くと、今までは、市町村よ
り都道府県が偉くて、都道府県よりも国が偉くて、国が[都道府県を通
じて]市町村に対して大きな権限を行使する関係だった。私は自分自身
の憲法試案の中で書いていることだが、まず市町村がど真ん中にあっ
て、その市町村の権限を必要であれば都道府県に、あるいは必要であれ
ば国に対して行使していくという発想であって、問題はなるべく皆さん
の身近なところで解決をすべきだという考え方だ。夫婦喧嘩が起きた時
には、それはコミュニティの中で解決すべき問題ではなく、夫婦だけで
解決すべきだろう。自分たちだけで解決出来ない時にコミュニティで解
決する、コミュニティで解決できないものはさらに大きな組織で解決す
るというやり方で、国の役割は限定的にして、権限と財源は出来るだけ
地域に委ねるということだ。これは「補完性の原理」に基づくもので、
さらに国も主権の一部を東アジア共同体に移譲するということも考えて
いきたい。

写真→ http://www.the-journal.jp/contents/takano/shasin027_1.jpg

 「新しい公共」というのは、時間がなくなったので簡単に説明する
が、今まで公の仕事はほとんど官が行ってきたが、これからはそうでは
なく、[公のことであっても]例えば市民の皆さんがグループを作って
解決しようというやり方になる。そのような活動を担う団体には寄付の
優遇政策を世に問うている。今までのような、公のことは何でもお上に
依存していたのに対して、個人、地域、企業それぞれが出来ることを協
力して支え合ってやっていこうということだ。

 「東アジア共同体」は、いま教育の分野では、日本、中国、韓国が協
力して大学生の単位をお互いに認め合うようにしようという制度が出来
上がってきて、国と国の関係も友愛精神を基調にしていきたい。東アジ
アが我々の生活空間と考えるからだ。

 韓国の李明博大統領の最近の発言は大変遺憾に思うし、また中国・香
港の方が尖閣諸島に上陸して逮捕され帰されたという事件もあった。実
は、2010年9月に尖閣諸島で漁船が衝突する事件が起きて以来、ロシ
アのメドヴェージェフ首相が北方領土を訪れるなど、近隣との間で様々
な事件が起きていて(写真参照)、このすべての事象は、私が辞めてか
ら起きているということを申し上げたい。私は「東アジア共同体」とい
うことを言い、それに対して中国も韓国も非常に納得してくれていた。
従って、中国や韓国との間で、少なくとも私が総理の時にはこういう事
件は起きていない。ロシアについても同じだ。これは大変残念なことだ
という事実だけを申し上げておく。

写真→ http://www.the-journal.jp/contents/takano/shasin027_2.jpg

●これからの展望
 
 民主党はもう終わりなのか、ということだが、今のこの状態のまま民
主党が選挙に突入したら、大変な惨状を招くことは間違いない。従っ
て、民主党が本当の意味で原点回帰が出来るのかが問われている。原点
回帰ができるかできないか、本来こういうことでスタートした民主党が
どうしてここまで変貌してしまったのかということが、もう一度問われ
て、そして立て直すことができるんだという判断をなされるように民主
党を仕組んで行く必要があると考える。自分としても、何も捨てるもの
はない立場なので、常に政治は国民の側に立って議論して行かなければ
ならないので、皆様方の気持ちを大事に考えながら積極的に行動して参
りたい。総選挙の見通しは、今日メディアの皆さんが一番聞きたい話な
ので、一切お話ししない。

 お暑い中、私の話に耳を傾けて下さった「大山村塾」の皆さんに感謝します。
ありがとうございました。

ーーー《質疑応答》ーーーーーーーーーーーーーー

高野  会場の皆さんから質問を受けます。

聴衆1 今日は鳩山さんの話が聞けるというので喜んで来たのだが、来
るまで本当に鳩山さんが来るんかいなという感じだったが、いやあ鳩山
さんに直にお話しを伺えて嬉しく思った。

鳩山  ありがとうございます。

●新しい民主主義の可能性

聴衆1 いま総理官邸前に非常に多くの人が自分の意思でデモに参加し
 ている。また沖縄の問題で「最低でも県外」と[鳩山さんが]言われた
 ことが大変大きな重みとなっていて、オスプレイの問題ではかなり自分
 たちが主張すれば何とかなるかもしれないし、何とかしなくてはいけな
 いという、一人一人の力みたいなものが出て来ているのではないか。そ
 れが地殻変動というか、これから日本が変わる契機になるのかなという
 気がしているが、どうお考えか。

鳩山  既存のメディアの存在に疑問を感じる人びとの意思が、例えば
 ネットなどを通じて大きなうねりを作り始めている。私はこれは新しい
 民主主義の流れとして、けっして無視すべきではないと思う。私は、原
 発再稼働反対、阻止を唱えている普通の方々がああいう大きなうねりを
 作りだしていることは、政治としてしっかり見ておかなければいけない
 と思った。それで私も一度参加して、自分の思いを述べた。「いま再稼
 働はすべきでない」ということの他に、「私もしばらく前まで官邸の中
 にいた」と。

  「官邸の中にいると聞こえるものが聞こえなくなってしまう。
 その厚い壁を取り払おうと私もいろんなことをやってみたが、なかなか
 簡単ではないことが分かった。そこで野田総理に、是非早い内に
 こういった方々の声が聞こえるような状況を作りたいと思っているので、
 そのことをこれから官邸に申し上げに行きたい」と言って、中に入って、
 藤村官房長官に申し入れた。野田総理も早い内に会いたいと一時は
 仰しゃりながら、枝野経産大臣が反対したら急に止めてしまって残念だ
 が、民主主義はやっぱり対話だから、いろんな方の話を出来るだけ多く
 聞くことが時の総理にとってとても大きな意味を持つと私は思う。おっ
 しゃるようなそういう新しい民主主義が政治を動かしてくる可能性は十
 分にある組織に動員された中での行動を超えた、今まで声を出さなかっ
 たような人びとの一人一人の声が政治を動かすような時代が、ようやく
 日本にもきたのではないか。

高野  民主党政権で変わることに大いに期待をしたが、やってみたら
 こんな具合だった。それで、これはもう、また別の人を選べばいいので
 はなくて、自分たちで行動を起こさなければダメなんだということを民
 主党が教えてくれたという、皮肉な一面がある。

  しかしそれは実は正しくて、明治以来ずっとお上にお任せで、
 お上が何をして下さるかということばかりを待ち続けて、喜ばされたり
 裏切られたりしてきた。常に国民あるいは市民は政治の対象、
 オブジェクト、政治をして頂く側に留められてきた100年余りだった。
 それが、何党がどうしたっていう話ではなくて、もう結局、自分たちで
 何とかする以外に将来なんて開けないんだ、と。
 何党がダメだったらまたこっち、何々首相がダメだったらまた
 こっちと、そう言っては何だが、鳩山さんを含めて何年も繰り返してき
 たわけで、それで問題は解決しない。この10年ほどの政治の流れがそ
 ういうことを教えてくれている。そういう意味も含めて新しい民主主義
 なのではないか。

鳩山  そうだと思います。ただやっぱり、最後に法律を作るのは政治
 家になるのだから、そういう方々が政治に参加するということが必要に
 なってくると思うので、次の選挙は政治家であることがハンディキャッ
 プとなって、むしろ自分がやりたいという意思を強く持っている人が行
 動を起こせば、国民の心をつかみ取る可能性が大きいのではないか。

高野  国民が動き出して自分の声を上げ始めるという時に、それを政
 治とか法律とか制度とかに繋げていく「回路」の役目を政党が果たせる
 のかどうかが問われる。だから野田さんもそういう時にサッサと会えば
 いいのに。はい、次の方。

[中編終わり]

明日をお楽しみに!

2012年8月21日火曜日

鳩山元総理講演[上]公開します!

8月18日(土)、大山村塾第3回講演会が行われました。
約160名の参加を得て、質疑応答も活発に行われました。
本日は、鳩山由紀夫元首相の講演要旨を紹介します。
これは、「高野孟のTHE JOURNAL」 http://bit.ly/vmdxubに掲載されたものを転載するものです。長文なので、3回に分けて投稿します。

では、どうぞご覧下さい!!!

〓〓〓 INSIDER No.639   〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
民主党政権の3年間を振り返る
──鳩山由紀夫が「大山村塾」で講演
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

鳩山由紀夫元首相は8月18日、鴨川市の「大山村塾」で「自らの反
省を含め民主党政権の3年間を振り返る」と題して約1時間、講演し、
その後に約40分間、会場との質疑応答を行った。以下に要旨を紹介す
る。

●自民党野田派か?

高野  この「大山村塾」のビラを鴨川市内や周辺に貼って歩くのだ
 が、今回これを持って行くと「何で鳩山なんか呼ぶんだ!」と怒る人が
 いまして(笑い)、  そういう時に私は申し上げたのだが、1つは、
 気に入らないことが1つか2つでもあるとたちまちその人の全人格を否
 定するといった風潮があるのではないか。私は子どもの頃に「あの子が
 嫌いだ」と言うと、母親に「誰にだって嫌なところの1つや2つはある
 わよ。あんただってあるわよ。嫌いなところは見ないようにして人と付
 き合いなさい」と言われた記憶があるが、いまそういうことがなくて、
 1つでも嫌なことがあると、皆で寄ってたかって悪口を言い募るとい
 う、イジメにつながるような風潮があるのではないか。いいところはい
 いところ、悪いところは悪いところとして、もうちょっとゆったりと、
 お互いを認め合うという、言葉でいえばそれが「リベラル」ということ
 だと思うが、それが大事なのではないか。もう1つは、その嫌なところ
 の1つ2つというのは、マスコミ──まあ今日はマスコミがたくさん来
 ておられて悪いですが──が作り出す虚像のようなところがあって、と
 くにテレビというものは、ある失言1つでもすればそこだけを1000回
 でも2000回でも繰り返すという、錐で傷口をこじ開けるような報道ぶ
 りが横行していて、政治家の発言にしても、いろんな大臣が失言で首が
 飛んだけれども、本質とは何の関係もない言葉尻を捉えてひきずり下ろ
 すという傾向をマスコミが強めていて、それがイジメという社会的風潮
 となって子どもにまで影響を与えているということがあるのではない
 か。
 

  ま、そういうわけで、メディアを通じて見る政治家ではなくて、リ
 アル、実物の政治家に接して自分の目で自分の耳で確かめて貰う、とい
 うことがこの「大山村塾」の1つの趣旨なので、今日は本物の元首相に
 来て頂いた。鳩山さん、よろしくお願いします(拍手)。

鳩山  こんにちは。今日は高野孟さんのお招きで、イジメの対象に
 なっている生の鳩山を(笑い)見て頂いて、ああやっぱりイジメられて
 当然だと思って頂くか、いや必ずしもそうではないぞと思って頂くか、
 私としては素の鳩山を知って頂こうと思う。これからの政治がいかにあ
 るべきか、皆様の故郷に政治がどう関わっていくのか、是非皆様方と議
 論させて頂き、私もヒントが頂ければいいなと思う(拍手)。
  
  さて皆さん、懐かしいでしょう(笑い)、これが09年の衆院選の時
 のマニフェストで私が表紙になっている。では、このマニフェストはご
 覧になったことがあるか。ないはずだ。これは、もし私が10年7月の
 参院選の時に総理を続けていたならこれで戦うつもりで作った幻のマニ
 フェストだ。ここには、「民主党政権がこれまで取り組んできたことを
 ご報告します」として、179の政策のうち実施できたのが39、一部実
 施が54、着手済みが66、全く着手できなかったのが20と書かれてい
 る。とくに出来たことは何かというと、予算編成を大幅に変えて、無駄
 な公共事業を18%削減する一方で、社会保障費は10%近く増やし、ま
 た教育予算も5%増やして、非常にメリハリのある予算編成ができた。
 また天下りの斡旋禁止はできたが、天下りの根絶はできなかった。もし
 私が総理として参院選を戦ったら、衆院選のマニフェストがどこまで
 行ったのか、これからどうやるのかを選挙前にもっと丁寧に説明して、
 もう少し辛抱してほしい、これから必ずその先を進めていくからと言っ
 て戦うつもりだった。
 

  そういう状況にならずに、自分自身の不徳の致すところで、総理を9
 カ月弱で辞めることになり、せっかく民主党に期待したのにと仰しゃっ
 て下さる方々に失望感を与えることになってしまった。その後に続く消
 費税の問題などを見ると、民主党は変わってしまったなあと思う方も多
 いのではないか。いま野田総理が、民主党が総選挙間近になって、こう
 いうマニフェストを作ると言った時に、素直に聞き入れてもらえるだろ
 うか。マニフェスト破りばかりしてきて、どうせ今度も守らないのだろ
 うと言われてしまいかねない状況だと思う。

  今の野田内閣、私から見ると余りにも自民党に近寄りすぎている。
 せっかく政権交代をして、自民党政治と決別するはずだった民主党が、
 なぜ自民党のほうばかり向いて政策を遂行しようとしているのか、大変
 に気懸かりだ。その最たるものが消費税の増税という議論だ。3党合
 意、民主党と自民党と公明党が歩み寄って、その過程で、例えば私が3
 年前に約束した後期高齢者医療制度の廃止からも事実上撤退してしまっ
 た。このようにマニフェストをボロボロにされながらも消費税増税の方
 向に走ってしまう。

●原発再稼働とTPP推進

  さらには原発再稼働の問題がある。実は私は原発については元々は推
 進派だった。地球温暖化をもたらす二酸化炭素などのガスが増えてきて
 いるという状況で、私は1990年比で2020年までに二酸化炭素を25%
 削減すると国連でも国会でも誓い、その時には原発を十分に使うことも
 約束した。しかし、昨年3・11であのような福島の大きな事故が起き
 てしまった。

  日本は、考えてみれば原発を作るには余りにも不適切な活断層が大変
 多い島国で、日本としては基本的には原発に頼らないで生きていけるよ
 うなエネルギー大国になっていかなければならず、それは十分に可能だ
 と今は思っている。その問題を抱えながら、原発の再稼働が始まってし
 まった。実際にはまだ福島の事故がどういう原因で起きたかも判明して
 いない。国会の事故調査委員会の議論でようやく、津波だけではなく地
 震そのものによっても大きな損傷が起きたことがほぼ明らかになってき
 た。そのような中で原発再稼働を決めるとは、どう考えても理屈に合わ
 ない話で、多くの皆さんが怒るのは至極当然だと思う。
 ただこの問題は、それならば原発に頼らないで生きていけるような保
 証、再生可能なエネルギー、あるいはバイオマス・エネルギーなどを駆
 使しながら、新たなエネルギーを開発することで生きていけることを示
 す責任もあろうかと思っている。

  それから、TPP推進という問題も私の時にはなかった問題で、菅総理
 になったとたんに推進の方向に大きく変わった。TPPについては多くの
 懸念が払拭されていない。確かに私も、日本をもっと開かれた国にしな
 ければならないということには当然賛成だが、そのことと、農業だけで
 なく保険、医療、金融、郵政などあらゆるものを例外なく一挙に全部開
 こうという強引なやり方は、アメリカを利するものであって、必ずしも
 日本の利になることではなく、基本的に推進すべきものではないと思っ
 ている。

  また、事故が続いているオスプレイを、沖縄の皆さんが米軍の基地を
 出来るだけ減らしてほしいという方向にあるのに、なぜ沖縄に配備する
 ことを決定するのか、非常に気になるところだ。この4つとも、自民党
 にすれば賛成だろうが、本来の民主党としては慎重でなければならな
 い。この辺が「自民党野田派」──これは私が言ったことではなく、あ
 るメディアがそう言っていると言ったところ、私が言ったということに
 なってしまったのだが──自民党の野田さんであるかの行動ぶりが気に
 なることは確かだ。

●原点は旧民主党

  旧民主党が今から16年前、1996年に発足した。これは、高野孟さん
 の理念でスタートした政党と言って過言でない。今までの政党と違う発
 想をしよう、と。

  1つは、2010年、すなわちその時点から15年先に日本をどういう国・
 社会にするかを議論しようということ。「地域主権国家」、すなわち、
 何でも国におんぶに抱っこしているのではなしに、町おこしをしようという時に
 予算のために東京に陳情に行かなければならないというのではなしに、
 地域のことは地域でしっかり権限と予算を持って決められるような
 社会をつくろうではないか。

  もう1つには、「時限政党」ということで、そういう国を15年後までに
 作る役目を果たしたら解党して、蝶が脱皮するように、必要ならば
 もう一度作り直そうということだった。そういう15年先を見た「未来からの風」
 のような政党として民主党を立ち上げようじゃないかということになった。
 

  それから[その時に対米政策の第1に掲げた]「常時駐留なき安保」
 は極めて重要な考え方で、以来私が常に主張してきたことだ。日本とい
 う国がアメリカによってある意味で守られているお陰で、戦後、一切戦
 争がない国として今日まで辿ってきたことについては、アメリカに感謝
 の念を持たなければならない。しかしだからと言って、日本の領土の中
 にアメリカの軍隊がずっと居続けて、未来永劫守られ続けて行くと考え
 るのは、世界史の中でも極めて異常な姿だと言わなければならない。一
 国の安全と平和を守るのはその国の人たちであり、50年、100年かけ
 てもそういう環境を作らなければならない。そういう発想の中で、いま
 沖縄で起きている[普天間移設問題の]状況を考えなければいけないと
 いうのが私の視点だった。アメリカ軍が常時駐留するのでなく、一朝有
 事の時に駐留できるような態勢を新しい安保体制の中で作るべきではな
 いかという主張だった。

  また「自立と共生の友愛社会」を唱えている。一人一人が自立した考
 えを持ち尊厳をもって行動したとしても、一人では生きていけない。だ
 から多くの方々と共生する──考え方が違うことをむしろお互いに喜
 び、認め合うような社会を作ろうではないか。それを「友愛社会」と呼
 んできた。国と国との関係も同じで、考え方が違うことをむしろお互い
 に尊敬し合うような、尊厳ある国と国のお付き合いを考えなければなら
 ない。私はその先に「東アジア共同体」という構想も述べていた。この
 ような旧民主党[の理念]の中に今の民主党の原点をもう一度掘り起こ
 していくことが必要ではないかと思う。

●私がめざしたもの

  私は[09年10月の]所信表明の中で「戦後行政の大掃除」をしよう
 と言い、それはまさに明治維新に匹敵するような「無血の平成維新」な
 のだ、そのためには一人一人の覚悟が必要だと言った。並大抵の政策転
 換ではない。今までの官僚中心の、官僚任せの政治ではなく、天下りも
 なくして無駄遣いをなくす。そして社会としては、一人一人が「居場
 所」があり、それだけでなく一人一人が「出番」を見いだせる社会を作
 りたいということで、その先に後で述べる「新しい公共」という発想が
 あった。私の総理在任の9カ月間に前月比で若干自殺者が減ったのが嬉
 しかった。もちろん年に3万人が自らの命を絶つ状況は続いていて、政
 治の大きな責任を感じるが、ひょっとしたら自分にも「居場所」がある
 のかな、「出番」が見いだせるのかなと思って頂いたのだとすればあり
 がたいことだ。
  「コンクリートから人へ」という標語を使って、コンクリート業界か
 らは相当怒られたが(笑い)、これはイメージであって、公共事業に余
 りにも頼っているハードな予算の使い方よりも、一人一人が幸せになる
 ための予算のあり方をどう考えるかを言いたかった。別の言い方をすれ
 ば「人間のための経済」を生みだしたかったということだ。公共事業の
 予算を18%削り、教育には5%、社会保障には10%増やして、「コン
 クリートから人へ」を実現した。当時、「地域医療が崩壊する」という
 ことが言われたが、診療報酬を2年続きで2回上げることで、そのよう
 なギリギリの状態から少しは改善されてきたのではないか。

  また「地域主権」も所信表明の中で大きな位置づけをした。このよう
 に、かなり新しいことを所信表明に盛り込んで、「命を守りたい」──
 命という言葉を26回使って野党からそればかり言うなと批判されたが
 ──命を大切にする政治に変えようじゃないか。そして、何でもかんで
 もお金をくれてやるからありがたく思え、ありがたいと思うなら選挙の
 時に1票をくれというような、上から目線の政治はやめようじゃない
 か。政治は、頑張って自立しようとする皆さんに、それとなく、そっと
 背中を支えるのが本来ではないか、ということを盛んに申し上げた。

●私が出来なかったこと

  それに対して、私がやらなければならなかったこと、十分にできな
 かったことは、既得権益との戦いだ。いま発想を変えて、例えば予算ひ
 とつでも大きく変えていこうとすると、今まで予算の下で甘い汁という
 か利権にありついてきた人たちからすると、とんでもない奴らだという
 ことになり、強い批判が出て来る。最初は、政権交代に戦々恐々として
 模様眺めだった人たちが、自分たちの既得権の問題と分かると、相当に
 厳しい反応を示すようになった。

  既得権とは1つには官僚機構そのものだ。もう1つは大手の企業、財
 界である。そしてもう1つは、今日も揃ってお出ましのようだが、大手
 のメディアも既得権そのものだ。本来なら官邸の記者会見なども海外メ
 ディアにもまったく公平公正に開かれるべきだと思っているが、いまだ
 にそれは行われていない。もう1つは、アメリカ、あるいはアメリカの
 意向を忖度した官僚たちというべきかもしれないが、アメリカと仲良く
 やらなければいけないんだということで様々な仕掛けをしてきたのが実
 態。さらにもう1つ言えば自民党で、自民党政治は既得権そのものだっ
 た。今はその既得権の中にむしろ入り込んでしまったのが野田政権なの
 かもしれない。鳩山が既得権と戦って敗れた。ならば既得権の中に、こ
 ちら側に身を置いた方が得策で、そうすれば大手メディア、財界、財務
 省、あるいはアメリカから「これはいい内閣だ」と評判を頂くことにな
 るんじゃないかという発想で行動している節がある。

(中編に続く)

■「高野孟のTHE JOURNAL」登録窓口 http://bit.ly/vmdxub

2012年7月14日土曜日

8月講演会に向けてミーティング


8月18日の第3回講演会に向けてのミーティングを行いました。
鳩山元総理の講演なので、いつもにもまして念入りのミーティングです。
今日はちょっとその内情をご紹介・・・

//////////////////////
7月14日(土)19時~20時45分
参加者:高野塾長ほか三名

1 警備体制について
2 控室借用の申し込み
4 チラシのデザイン最終検討
5 駐車場の手配
6 当日の流れ(原案)
13:00 開場
13:30 鳩山元総理講演
14:15 高野塾長を司会に、質疑応答
15:00 休憩を挟んで、高野塾長講演
16:00 閉会
7 スタッフ体制について
・会場設営
・駐車場
・受付
・会場整理
・会場片付け
などなど・・・

/////////////////////

実は大山村塾、かなり少人数で企画しています。
毎回、多くのボランティアスタッフにお手伝いいただいて運営しています。
「手を貸せるよ!」と言う方いらっしゃいましたらぜひぜひご連絡ください。
一緒に、作ってゆきたいです。

では、今日の内情公開はこれで終わります・・・

2012年7月10日火曜日

大山村塾第2回講演会 高野塾長講演部分

6月9日(土)に行われた第2回講演会、
第2部の高野塾長の講演部分の動画を公開します。

こちらは、NPO法人カルショック様が運営される、
「超人大陸」というサイトで公開されたものです。

どうぞご覧下さい。
http://www.choujintairiku.com/120611.html

第1回大山村塾講演会動画公開!

今更公開…というのもはばかられますが。
実は大山村塾は、高野孟塾長のもとでザ・ジャーナルを展開するジャーナリストたちの協力を得ています。
以下は、ザ・ジャーナルに公開された今年4月の結城先生の講演動画です。
どうぞご覧下さい!

http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2012/04/post_831.html

大山村塾、今後の講演会・座会のお知らせ

<第4回講演会>

10月20日(土)13:30~16:00
会場:旧大山小体育館
講師 河野 太郎(自民党・衆議院議員)
テーマ:とにかく、まず、核燃料サイクルを止めよう
http://www.taro.org/

<第5回講演会>

12月8日(土)13:30~16:00
会場:旧大山小体育館
講師 藤田 和芳(大地を守る会社長)
テーマ:「大地を守る会」の37年間から見えてきた食と農の21世紀
http://www.daichi.or.jp/

<第3回座会>

9月15日(土)13:30~16:00
会場:旧大山幼稚園
テーマ:安房の農村を考える~新規就農者・移住者を増やす方法
さまざまな問題を抱える農村ですが、311以降移住希望者は増加しています!
マイナスがプラスになる時代です。青年就農給付金も始まり、これからどんな可能性があるのか、
未来へ向けてポジティブなディスカッションを行います。

<第4回座会>

11月3日(土)13:30~16:00
会場:旧大山幼稚園
テーマ:太陽光発電ワークショップ~家庭で小さなエネルギー自給をしよう!
藤野電力を講師に、家庭用の小さな太陽光発電を作るワークショップを行います。
エネルギー自給の一歩を家庭から!
*事前申込制です。mailto:oyamasonjuku@gmail.com
参加費:太陽光発電 製作 42800円(先着12名)
              見学 参加費無料
*見学の制限はありません。

-------------------------------------------------------------------------------------------------
これで、年内の講演会、座会の予定が決定しました。
一年目でもあり、参加者の皆さんには様々なご迷惑をかけていますが、
この塾を共に育ててゆければ、と思います。
ご意見・ご感想・委員会メンバー立候補等、どんどんお待ちしています。

なお、4月には、菅原文太さんが講演会講師として来鴨してくださいます!!!
お楽しみに!

大山村塾第3回講演会:鳩山元総理来る!!!

大山村塾第3回講演会を8月に開催します。
いよいよ、鳩山元総理の登場です!!!

第3回講演会 
8月18日土曜日
会場:旧大山小学校体育館
開場 13:00
第1部 13:30〜15:00 講師 鳩山由紀夫
「自らの反省を含め
民主党政権の3年間を振り返る」

民主党分裂、消費税法案の行方次第では野田政権崩壊かという政局緊迫の中
自らも消費税法案に反対して党員資格停止中の元総理が、
そもそも民主党何をめざして政権を獲り、
この3年間を通じて何を達成でき、達成できなかったのか、
そして民主党が再び国民の期待を担えるようになるにはどうすればよいのか、
自らの言葉で率直に語り、会場からの質問にも答える。

プロフィール:
鳩山由紀夫(はとやま・ゆきお)
1947年東京都生まれ。東京大学工学部計数工学科を卒業後、
米スタンフォード大学博士課程でPH.Dを取得。
専修大学助教授を経て、1986年総選挙で旧北海道4区(現9区)から出馬し初当選、
自民党田中派に所属。93年に自民党を離党し新党さきがけ結成に参加。
細川内閣で官房副長官を勤める。96年に旧民主党を結成し代表に。
98年に民政党など3党と合同して(新)民主党を結成、幹事長代理に就任。
その後、代表、幹事長、再び代表を歴任し、09年第93代内閣総理大臣に就任。

ホームページ 
http://www.hatoyama.gr.jp/

第2部 15:10〜16:00 講師 高野孟
「私が考える民主党再建案」
民主党は96年旧民主党結成の原点にまで立ち戻って、
「地域主権国家への転換」「東アジア共同体の形成」をめざせ。

----------------------------------------------------------------------------------------------------
定員は300名となっております。
駐車場が少ないので、乗り合わせのうえお越しください。

第2回講演会のサポーターの皆様のご紹介

大山村塾では、地域で活動する多くの個人・企業の方からサポートをいただいています。
サポーターとは、
①第3回(12年8月)~第8回(13年6月)まで6回の講演会を通しで賛助金1口1万円を事前にお支払いいただくと、どの会にも共通の特別招待券を6枚をお渡しいたします。
②1回ごと賛助金1口2000円を事前にお支払いいただくと、1回分の特別招待券をお渡しいたします。
③当日のプログラム「サポーター一覧」に名刺サイズの広告を記載し、感謝の気持ちを表します。

第2回座会:南房総での残土・産廃・放射能問題

7月7日土曜日、旧大山幼稚園(旧大山小と同じ敷地)で、
第2回大山村塾座会が行われました。

大山村塾は、講演会と座会を並行して行っています。
講演会は、各界で活躍している方のお話を聞かせてもらって、
それをどう自分の暮らしに活かしていくかを目的に、
座会では、自分たちの住む地域にとって身近な問題を、
少人数でより具体的に対話していくことを目的にしています。

今回は、鴨川市内、南房総市、館山市、鋸南町の南房総3市1町から、
遠く佐倉市から、約30名の参加がありました。

残土産廃問題ネットワークちば事務局長であり、
放射性物質から生命を守る市民の会副代表を務められる金井珠美さんを講師に、
南房総での残土・産廃・放射能問題を話題としました。

君津・木更津・富津で問題となっている産業廃棄物処理施設の問題、
館山市板田での残土処分場問題、鋸南町で計画される処分場問題等の事例が紹介され、
積極的に意見が交わされました。

鴨川市・館山市では残土処分を規制する残土条例を制定する動きがあります。
私たちの住む地域は私たち自身で守っていくという姿勢の重要性を改めて感じました。

2012年7月5日木曜日

第2回 大山村塾講演会 開催されました。

日時が前後してしまいましたが、6月9日(土)に、
旧大山小体育館にて、第2回大山村塾講演会が開催されました。
大雨の中の開催となってしまい、参加者の方には大変な
ご迷惑をかけてしまいましたが、100名に近い方がご参加くださいました。

当日の様子は、またあらためて投稿する予定ですが、
講師を務めてくださった甲斐さんのレジュメを公開させていただきます。

--------------------------------------------------------------------------------


大山村塾レジュメ 2012/06/09 農文協 甲斐良治

『青年帰農』から10年
「ついて行く編集者」が農山村に向かった若者たち、そしてむらから学んだこと

(社)農山漁村文化協会(農文協)
編集局次長・前「季刊地域(増刊現代農業)」編集長
甲斐良治

1、はじめに
 結城登美雄著『地元学からの出発 この土地を生きた人びとの声に耳を傾ける』
 「まえがき」より

 人間というものは身近にあるものよりは、遠くに隔ってあるものを
価値の対象にしてしまう心性をもっているという。隣の芝生がいつも青く見えてしまったり、
幸せは山のあなたの空遠くにあると思い込んでしまう不思議な心理。
  「近代化」とは、そうした人間心理の上に成り立ってきた。先進地は西欧で日本は遅れている。
だから日本をよくするためには西欧化しなければならぬと、船来品や外来思想をありがたがり、
在来の文化を低くみた。とりわけ戦後はアメリカ一辺倒のモダニズムの嵐が吹き荒れ、
気がつけば合衆国日本州になってしまっていた。
 人びとが生き暮らす地域のとらえ方も同じで、農山漁村は閉鎖的で非効率的で、
もっと近代化し都市化しなければならぬと、村の暮らしと営みをゆさぶり続けた。
その結果、村を離れて都市へと急ぐ「向都離村」の時代が長期化し、
過疎・限界集落といわれるまでになってしまった。
   思えば私たちの戦後教育もまた、自然とともに村を生きていくための学びを捨て去り、
企業ひしめく都市社会の一員になるための学びばかりになってしまった。
競争社会に打ち勝ち、優位のポジションを得るための学び。頭を肥大させ知識を詰め込み、
受験、進学、一流企業。それが豊かな生活と人生を保証してくれるはずだと、
遠隔対象性の一本道を追いかけてきた。だが、盛者必衰、時代は行き詰まってしまった。
気がつけば都市も農村も孤立してバラバラに暮らしていた。
当然ながら人はひとりでは生きていけない。人びとは今、来し方をふり返り、
失ったものの大きさにたじろぎながら、少しずつ新たなるもうひとつの道をも模索し始めている。
  遠くで光り輝くものも悪くはあるまいが、今はむしろ、ここにあるものをあらためて
ていねいに見つめ直してみたい。この土地を生きてきた先人たちは、
限られた自然立地条件の中で、どのようにして己が生きる場と暮らしをよくしようと
努力してきたのか? その知恵と工夫は? いたずらに格差を嘆き、
都市とくらべて「ないものねだり」の愚痴をこぼすより、この土地を楽しく生きるための
「あるもの探し」。それを私はひそかに「地元学」と呼んでいるのだが、
要はこれからの家族の生き方、暮らし方、そして地域のありようを、
この土地を生きてきた人びとから学びたいのである。
   性急に経済による解決を求める人間には、ここには何もないと見えてしまうだろうが、
自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとする地元の人びとの目には、
資源は限りなく豊かに広がっているはずである。
むろん「地元学」は都市やグローバリズムへの否定の学ではない。
自然とともに生きるローカルな暮らしの肯定の学でありたい。
もう一度この土地を生きてきた人びとの声に耳を傾け、
その発見の中から自分もまた地域を再生する一人の当事者として力を合流させたいと思う。
 本書は10年にわたる試行錯誤のたどたどしい記録であるが、
「地域の再生」へのささやかな手立てになってくれたら嬉しい。
                                                                                    2009年10月  結城登美雄


2、「自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとする人びと」の直売所
      ――長野県伊那市「グリーンファーム」
出荷会員 2150人 職員60人 うちパート5人 売場面積400坪(敷地面積3300坪)
いきいき100坪実験農場

3、「むらの一員」か「就職口」か
      ――大分県豊後大野市「夢市場直営農場」と「天の川生産組合」の若者たち

4、「いいからかん」で拓く私の人生
      ――群馬県片品村「グッドマザープロジェクト」桐山三智子さん

5、「いい大学を出ても、希望通りの職に就けず、
     たとえ就職しても『終身雇用』などという概念は、はじめから私たちにはなかった」
          ――熊本県南阿蘇村O2ファーム 大津耕太さん・愛梨さん

6、「キーワードは自給よ、自給」「自給こそ農村文化の源」
          ――島根県津和野町「おくがの村」糸賀盛人さん

7、月5万円の暮らしを学ぶ――「緑のふるさと協力隊」

8、若者動きを国がとらえた――「地域おこし協力隊」

9、林業にも若者の潮流――複業型自伐林家をめざす「土佐の森・救援隊」
-----------------------------------------------------------------------------------------------

講演後は、懇親会が持たれ、さらに対話が深められました。